Player and Audience

私は音楽を通して、たくさんの人に出会っています。
弾き手ももちろんですが、遥かにその数を超えるのは聴き手の方々です。
残念ながら聴衆が演奏者を知記憶することが容易であっても、演奏者が反対にそれをするのは難しいことです。

これまでクラシックコンサートだけではなく、様々な場所でバイオリンを弾かせてもらってきましたが、
中には全くクラシックを知らない方だってたくさんおられたでしょう。
バイオリンなんて生で聴いたことがなかった、という方もいらっしゃいました。
実はそういった方々の感想が私にとっては一番聞きたいものなのです。
彼らは本当にただの音として、私の音に耳を傾けてくれる聴衆ですから。

演奏の間、確かに私たちは知り合いとなり、同じ空間で同じ音に包まれ、とても親しくなります。
ホールの響きは聴衆の「入り」で変化し、弾き手は演奏でそれを確かめ、
そして、とても密接な関係が出来上がります。

そういえば音楽家について、奏でる音でその人が分かるとよく言われますね。
そこには努力や経験や、感情や性格が詰まっていて、確かにその通り。
でも音は演奏者以外からもたくさんの要素を含んで響いているものだと思います。
それはただ単に、湿度や、楽器のどうこうではなくて。

随分前の話ですが…
当時付き合っていた人の、会社の方々を演奏会に招いた時でした。
緊張どころの騒ぎじゃなく、
誰がどんな人で、もしかして彼の上司?なんて考えるとどんな顔をしていればいいのか分からなくなり、その上私のデュオのパートナーにまで緊張が伝染して大変でした。
「まだ未成年らしいよ」なんてヒソヒソと話す声が聞こえるたび演奏に集中出来なくなり、その間中、そこにはいない彼に何度も心の中で謝っていたのを覚えています。

その次の日も2回公演で同じ小さなコンサートをし、結局二日とも会場いっぱいのお客様に来ていただきました。
一日目が悲惨だった反動か、二日目はとてもいいものになりました。
私の演奏を楽しみにして下さっていた方々、初めて聴きに来られた方、皆さん喜んで下さいました。
これは、ほっと一息。
その2日間の何が違ったかというと、その雰囲気だったのではないかと思います。
一日目は、あんなに弾き心地の悪い空間は無い、というほどひどかったものでした。
みんな演奏じゃなくて、「あいつの彼女ってどんな子?」なんて雰囲気でしたから。
…これは言い訳かいな?
そうかも。うーん。

とにかく、それ以来私は自分が聴き手にまわったとき、聴き手はコンサートの一部、演奏の一部なんだと感じるようになりました。
やはりオーケストラやソロにしてもライブにしても、演奏者は会場の雰囲気を舞台で感じます。
嬉しそうに身体を揺らしながら聴いてくださる人が見えたり、真剣に聴き入っている人が見えるのと同じく、寝ている人も見えますし、つまらなそうに周りを見回している人も見えます。
演奏中にも関わらず音を立てる人、動き回る子供。
コンサートホールで聴き手として会場に入った時、誰かが私に話して下さった、
「日本は聴き手を育てなければいけない」という言葉を思い出します。
聴き手って、思った以上に責任重大かもしれませんね。
かといって肩肘を張る必要もありませんが、せめて最低限、きちんと演奏に耳を傾けられる聴き手が今以上に増えるといいなあと思います。

始めのテーマからえらく個人的な話にもなってしまいましたが、何が言いたかったのかというと…ええと…

同じ演奏家に奏でられる同じ曲でも、
二度と同じ音は出ないってこと。

…そんな内容やったかな…

投稿者:mizuno 2005年08月25日 13:35

コメント: Player and Audience

何度かお邪魔しておりましたが、足跡を残さずにしておりました。すみません。長文お疲れ様でした。確かに聴衆と一体感を感じることはプレイヤーとして最も重要なことと察します。聴き手にとっても音楽のすばらしいところは「共感」にあると思います。私の感じるところによると、プレイヤーはまず、「自己陶酔」に陥って、更に「聴衆の反応を感じること」によって最大限の自己満足を得ることによって「素直な自己表現」に至り、それを感じる聴衆と。。。ごめん

投稿者 はっち : 2005年08月26日 22:37

日本人というのは空間の雰囲気を感じて、その中にいるって事を楽しむのが下手やと思います。(ちなみに、日本人の悪いところの一つかなーって最近思います)

例えば、僕の前のバイト先であったレストランは、日常からは離れているけれど心地いい空間を演出するのに結構なウェイトを置いてました。でも、お客さんは出てきた料理をぱっぱかぱっぱか食べて、食べ終わったら帰る、ってな具合です。ついでに、マナーの悪い、場違いとも思えるお客さんもいます。具体的には書きませんが…。

コンサートでの聴き方は人それぞれですが、自分が空間の中の一つの存在であるって事を理解できる人が増えるといいですね。

投稿者 kaito : 2005年08月27日 14:14

はっちさん>
いらして下さってたんですね!ありがとうございます。
最近はどうされていますか?発表会が近かったような…?
はっちさんのヴァイオリン、是非聴かせて下さいね!

kaito>
そうだね。
ただこういう話はいろんな視点から見ることが可能なので、一概には「こうあるべき」とは言えないね。kaitoのくれたコメントを見ていろいろ考えました。
例えばそのレストランでただパカパカ食べて帰った人でも、その人が実はその雰囲気と食事に満足してくれたならお店側としては喜ぶべきだとも思うし、私の話でも同じこと。足を運んでくれた事自体に感謝をする気持ちは忘れたくないよね。
今回は何を焦点にしたのか良く分からない文章でごめん(笑)
いやー、おもしろい。

投稿者 水野 : 2005年08月30日 16:04

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